明代「五彩唐子茶碗」の真価――現場の勘が弾き出す15万円
2026.05.08
「なぜ、手のひらに乗るような小さな茶碗に、150,000円という数字を即答できるのか」
荻窪の事務所を出て、環八を南へ。世田谷の成城や大蔵、用賀といった邸宅街へ向かう移動。あるいは五日市街道から連雀通りを抜け、三鷹、調布、狛江といった武蔵野の空気が残るお宅を回る動線。私がハンドルを握りながら考えているのは、これから対面する品物が、どのような「物性」を持ってそこに存在しているかという一点です。鑑定とは、歴史の重みを語ることではありません。数多の現場で品物を触り続けてきた「手の感覚」を、今の市場の冷徹な数字に置き換える実務です。
■1. 五彩唐子の「表情」と、絵具のポッテリした厚み
2017年に世田谷区内の古いお宅の整理に立ち会った際、桐箱の奥から現れた一点の茶碗。 中国美術 の中でも華やかな明代の「五彩(ごさい)」、子供たちが遊ぶ姿を描いた「唐子(からこ)文様」の逸品でした。一見すると小ぶりで可愛らしく、骨董に詳しくない方からは「おもちゃのような器」に見えることもあります。しかし、本物は違います。
まず目に飛び込んでくるのは、赤い絵具の「厚み」です。本物の五彩は、絵具が盛り上がるようにポッテリと乗っていて、子供たちの表情一つひとつに、当時の職人が一筆で書き上げた迷いのない勢いがあります。偽物は、この線が均一すぎてどこか冷たく、表情に面白みがありません。他社が「小さな茶碗だし、少しの欠けがあるから数万円が限界」と慎重になるなか、私はこの「筆の走り」と、手に持った時のどっしりした土の重みを確認し、その場で150,000円という査定額を提示しました。これが、表面の傷だけを見て減点法で査定する店と、品物の本質を加点法で評価するえびす屋の差です。
■2. 地域に張り付いた鑑定士の「地理的・物理的感覚」
世田谷区や杉並区を中心に、中野、渋谷、目黒、大田、三鷹、調布、狛江といった周辺地域全般を回っていると、かつて大陸から直接取り寄せた最高純度のコレクションを、代々大切に受け継いできたご家庭に多く出会います。特に成城や荻窪といった歴史ある住宅地には、風通しの良い蔵や書斎で守られてきた品物が地層のように積み重なっています。
私は、このエリアのどの道を通ればどのお宅に行けるか、その土地の蔵にどのような傾向の品物が眠っているか、肌感覚で知っています。適切に管理された環境下では、数百年経った今でも五彩の色彩は驚くほど鮮やかです。見た目が綺麗すぎると「現代の新しいものではないか」と不安になる方もいらっしゃいますが、私はその鮮やかさのなかに、当時の最高級品だけが持つ「品格」を見つけ出します。見た目の大きさに惑わされず、その一点が持つ物理的な証拠を正確に数字で証明すること。それが私の仕事です。その辺り全般に強いえびす屋として、一軒ごとの現場で確認を続けています。
■3. 現場で出す「嘘のない数字」の裏付け
鑑定の現場で、ご遺族から「子供の絵が描いてあるから、孫の代で使わせようと思っていた」と言われることがあります。しかし、私が見れば、それが世界中のコレクターが探している明代の稀少な唐子茶碗であることは明白です。大田区の古いお宅での事例がそうであったように、お客様が想像もしていなかった高値で買い取らせていただくのは、私がその土地の「蔵の深さ」と「市場の現在地」を両方知っているからです。
骨董品の世界では、知識のない人が見れば「ただの古い器」に見えるものが、実は歴史を物語る宝物であることは珍しくありません。私は、荻窪を拠点にして、世田谷、杉並から、中野、渋谷、目黒、大田、三鷹、調布、狛江といった周辺地域全般を毎日走り回っています。どの道を通ればどの家に着くか、その土地にどのような品物が眠っているか、私は肌感覚を大切にしています。価値の分からない古い磁器、色の沈んだ 墨・紙・拓本 、汚れたように見える壺や茶碗。それらを不用品として処分してしまう前に、一度だけ私に見せてください。今の市場で最も信頼される「嘘のない数字」をハッキリとお伝えします。
■4. 実務家としての結論:鑑定の現場に立つ私の役割
世田谷、杉並、中野、渋谷、目黒、大田、三鷹、調布、狛江。この地域全般の蔵にある品物の情報を、一点ずつこの目で確認し、素材の良さや作られた時代の良さを今の取引価格として正確に算出すること。それが私の役割です。私は、ポエムのような歴史談義を語るつもりはありません。ただ、品物の真実を明らかにし、正当な対価を提示する。品物の歴史的な裏付けについては 東京国立博物館 の資料なども参考にし、客観的な視点を欠かさず査定いたします。その辺り全般の買取なら、えびす屋に安心してお任せくださいと言えるだけの仕事を、今日も現場で完遂するのみです。 硯 などの書道具の査定も、お気軽にご相談ください。
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